こんにちは。下関・北九州エリアで医療アートメイクをご提供している、看護師の吉村ひろ美です。
当院へご相談にいらっしゃる方から、最も多く寄せられるご不安の一つが「アートメイクや刺青をしてると、MRI検査で火傷をするから検査が受けれなくなるというのは本当?」というお声です。
事故や病気だけでなく、健康診断でもMRI検査を受ける機会が増える年代だからこそ、その不安は当然のことですよね。
様々な噂が飛び交っていますが、医療行為である以上、大切なのは「イメージ」ではなく「客観的なデータ」です。
今回は、日本の大学機関が行ったMRIとアートメイク色素に関する具体的な研究データをもとに、分かりやすく解説いたします。
アートメイク色素とMRIに関する「大学の研究結果」
アートメイクの色素(インク)には、色を定着させるために微量の金属成分(酸化鉄など)が含まれていることがあります。これがMRIの強力な磁場に反応して発熱するのではないか、と危惧されてきました。
この疑問に対し、東京慈恵会医科大学の研究グループが、科学的な動物実験(マウスを用いた検証)を行いました。
当院でも使用しているBiotouch社などの代表的な8種類の色素を使用し、「9.4テスラ」という超高磁場MRIにかけて、温度や皮膚への影響を細かく調査したというものです。

検証データ①:本当に「発熱・火傷」は起きるのか?
皆様が一番気になる「温度の上昇」について、研究では以下のような結果が報告されています。
• 温度の変化はごくわずか
MRI検査中の温度上昇は、最も温度が上がりやすい黒色の色素(アイラインなどに使用)でも「最大0.4度」にとどまりました。その他の色(赤褐色など)は0.1〜0.2度の上昇でした。
• 火傷の所見はなし
検査後の皮膚の状態を確認しても、発赤(赤み)や水疱(水ぶくれ)といった熱傷(火傷)の所見は一切認められなかったと報告されています。
一般的な病院のMRIは「1.5テスラ〜3.0テスラ」であることが多いため、この実験で使用された「9.4テスラ」という非常に強力な磁場環境下 でも火傷が起きなかったというデータは、一つの大きな安心材料と言えます。
検証データ②:MRIに入ると「色が変わる」って本当?
発熱のほかに、「MRIに入るとアートメイクの色が変色してしまうのでは?」と心配される方もいらっしゃいます。
同研究では、専用の機械(分光測色計)を使って検査前後の色の変化も検証しています。
その結果、人間の目では「一般的な同色と認識されるレベル(違いが分からない程度)」であり、特異的な色の変化は認められなかったとされています。
また、皮膚の組織自体にも著しい変化はありませんでした。
医療機関だからできる、リスクへの備え
今回ご紹介した国内の研究データなどから、現在のアートメイク色素によるMRI検査への影響は限りなく少ないと考えられています。
しかし、医療において「100%絶対に安全です」と断言できるものはありません。
ですので、私はお客様の安全を第一に考え、以下のことを行っております。
• 施術に使用する色素の成分情報は、医療機関としてしっかりと管理しております。
• 現在、使用しているアートメイクの色素は、FDA(アメリカ食品医薬品局)やCE(欧州安全基準)によって安全性が認可された製品です。これらのインクに含まれる金属成分は極めて微量であり、MRI検査に大きな影響を与えることはほとんどありません。

つまり、「信頼できるクリニックで、安全性の高いインクを使用して施術を受けていれば、MRI検査は基本的に問題なく受けられる」と言えるでしょう。
しかし、海外では極少数ですが、アイラインアートメイクを上瞼にいれた場合に、熱感や軽度火傷の報告があります。温度上昇は、ループ形状(円状)をとっているときにおきていることから、誘導電流が生じると考えられており、形状の注意が重要です。症例があることから、火傷のリスクは0とは言えません。このことからも、私はアイラインは上瞼のみのにさせていただいております。
もし、上下のアイラインが眼を囲うようにしっかり入っている場合でも、検査中、閉眼することで、ループ形状を線状にする事ができます。
安全に検査をうけていただくために、以下のことをおすすめします。
・事前に担当の医師や放射線技師に「アートメイクが入っていること」を申告する
・検査中は目を閉じた状態を保つ
・違和感や異変を感じる事がれば、すぐにマイクや手元のスイッチで医療スタッフへ伝える
「綺麗になりたい」というお気持ちと、医学的なご不安。それを一つひとつ丁寧に紐解き、心から納得して施術を受けていただくことこそが、医療アートメイクの本来のあり方だと考えています。
すっぴんの自分に品格と自信を取り戻すために。
ご不明な点やご不安なことがございましたら、公式LINEよりいつでもお気軽にご相談くださいね。
【参考・引用文献】
本記事は、以下の科学研究成果報告書を参考に作成しています。
• 冨田祥一. MRI検査が刺青・アートメイクに及ぼす影響. 科学研究費助成事業 研究成果報告書 (課題番号: 15K19820). 東京慈恵会医科大学; 2018.


